横浜デジタルアーツ専門学校の1、2年生を対象とした、「体験デザイン入門」という授業を行ってきました。5回にわたるこの講座、フィールドワーク、エピソード分析から、コンセプトデザイン、シナリオの作成など、体験に根ざしたデザインを行うための基本的な考え方を学びます。
第1回目は「フィールドワーク〜街に出て情報を収集しよう〜」
今回はデザインの勉強を始めたばかりの1年生が大多数ということもあり、具体的な情報収集よりも、「状況の多様性に目をつける意味」に気づいてもらうことが目的でした。
そこで、用意したのが、こんな観察シート。
この観察シートに、それぞれ5つ以上該当するものを見つけて帰ってくる、という課題です。もちろんこの7つの観察ワードに合わせて写真をとってもOK。制限時間は1時間30分。
この7つの観察ワードは、単純なモノの特長をみつけるだけでなく、モノの価値判断に影響を与えている経験や知識を意識できるキーワードを選びました。
4~5人のグループに分かれて出発!
さてがんばるぞ。
観察ワード、人によって捉え方が違うみたいだぞ。
グループ内で熱いディスカッションも。
よし、あっちにいこう!
ここからは、学生さんたちのノートをちょこっとご紹介。
高機能なもの・・・エスカレーター
それがあると楽ができるもの・・・電光掲示板
それがあると楽ができるもの・・・自動改札機
ぬくもり・優しさを感じるもの・・・点字ブロッグ
ぬくもり・優しさを感じるもの・・・・クリスマス飾り
ぬくもり・優しさを感じるもの・・・・音声ガイド付き案内版
成長、進歩しながら変化するもの・・・ディスプレイ
成長、進歩しながら変化するもの・・・薬屋の商品ラインナップ
自然の美しさがあるもの・・・木のシルエット
高機能なもの/成長、進歩しながら変化するもの・・・新型自転車置き場
ぬくもり・優しさを感じるもの・・・寒さでまるまった鳩
高機能なもの・・・高層ビルの掃除用クレーン
ぬくもり・優しさを感じるもの・・・手書きのメニュー
デザインが美しいもの・・・黒いファミマ!!
街を見つめる学生さんたち
自然の美しさがあるもの・・・ガラスに映った空とビル群
自然の美しさがあるもの・・・紅葉した並木
どんなものがあったのか?振り返りながらまとめ
どんなものを見つけたのか、どうしてそう感じたのか
グループごとに振り返った結果を発表。
最後にフィールドワークの基本的な講義。
通常、仕事でフィールドワークをする時には、あらかじめ視点を決めて調査するということはほとんどありません。
川喜田二郎さんの言葉「渾沌をして語らしめる」に 代表されるように、混沌とした情報と情報の中にその意味を見いだすことで、新しい視点を発見することが大きな目的となるからです。
しかし、どのような視点で観察していいのかわからない場合、視野が狭くなってしまう傾向があります。そういう時には、今回ご紹介したよう に、単純でいて幅の広いキーワードを用意しアプローチするというのも有効なやり方です。
いつもと違うことに目をむけ、モノや人の行動の意味について考えること は、今後のデザイン活動にとって不可欠なものになると思います。学生のみなさん、がんばってください!
○生徒のブログ
●関連ブログ
1回目:フィールドサーベイ・・フィールドワーク最初の一歩
2回目:情報分析・・体験をとらえるマッピング
3回目:アイデア創出・・街の集客方法を考えるワークショップ
4回目:シナリオデザイン・・カスタマージャーニーマップを作成するワークショップ