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2013年1月3日木曜日

2013年は丸く丸く

2013年、巳年の年となりました。
十二支の「巳」は、植物に種子ができはじめる時期と考えられるそうですが、今年はどうなるのでしょう。

昨年は私にとって、地固めの年でした。初めてのオフィス開設や新しい仕事の摸索。そして、たくさんの新しい種も見つかりました。
今年はその種がたくさん芽吹く、まさに巳年の年となりそうです。

そんなワクワクした思いを胸に、今年も書初めしました。
「今年の一文字」と「今年やりたいことノート」を恥ずかしながら、アップします。

今年の一文字「丸」

「丸」には二つの思いを込めて。
まず、まあるい性格になること。怒らず奢らず朗らかに。
それからもう一つは、輪、和、環、を表す意味での丸。同じ志をもつ人との和を大切にしながら、知恵が中心に集まってくるような環境づくりをしていくこと。
人間丸さが大切だ。でも、身体が丸くならないように気をつけなくっちゃね。



それから、今年やりたいこと。
今年は、「課題発見ラボ」の取組みや、新しいエクスペリエンスパターン(仮)に関する体系化の取組みなど、ナレッジを蓄えるためのフレームワークづくりをいくつか予定しています。
また、サービスデザインの実践活動にもどんどん力を入れていきたいと思っています。
今年1年でどう実現していくのか楽しみです。

さて、最後になってしまいましたが、こうした活動ができるのも、
このブログを読んでくださっている皆さまのおかげです。
2013年が、皆さまにとって健やかで実りある年になりますように。
本年も何卒よろしくお願いいたします。

2012年2月28日火曜日

UXのためのストーリーテリングのワークショップ

2012/2/25(土)に、HCD-Net主催のワークショップユーザーエクスペリエンスデザインのためのストーリーテリング」に参加してきました。昨年丸善出版より出版されたユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング-よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方」の翻訳をされた、UX TOKYOで活動をされている脇阪善則さん、酒井洋平さん、前田俊幸さんが講師をされました。

私も、「ストーリーテリング」にとても興味を持っていたこともあり、じっくりとお話しをききながらワークショップができてとてもいい刺激になりました。そこで撮影した写真からいくつかピックアップしておきます。

人間中心設計のプロセスとストーリーの扱い方

ビジネスプレゼンテーションとストーリーテリングの違い

ストーリーの5つの構成要素、と6つのパターン

グループ別にシナリオを想像し発表!

Heroパターンでシナリオをつくる・・

これがストーリーのHeroパターン


物語を、物語る手法「ストーリーテリング」。消費者へ向けて新しいサービス像をうまく伝えることや、経営層へ向けて新しい商品の価値をうまく伝えることなど、様々な効果が期待できます。また、リサーチャーやデザイナーは、ストーリーの要素やパターンを利用することで、半構造化インタビューのフレームとして活用したり、エピソードを分析したり、シナリオを構成したりと、活用することができます。
XB法もストーリーテリングのための1つのやり方なのだな、と改めて実感。

ストーリー収集からシナリオ作成まで、楽しめた一日でした。

2012年1月21日土曜日

カスタマージャーニーマップを作成するワークショップ

横浜デジタルアーツ専門学校の1、2年生を対象とした「体験デザイン入門」の講義。
今回はより具体的なアクティビティを考える授業を行いました。

「新横浜にまた来たくなるシカケ」というテーマに対し、前回各グループで発想したコンセプトをもとに、「誰が」「いつ」「どんな風に」サービスと関わるかを設計するワークショップです。

今回はグラグリッドの尾形が講師を担当しました。

まずは、顧客像を設定します。

顧客だけでなく、主要なステークホルダーも書き出します。

時間軸で行動や心理を書き出します。

みんなで考えを共有しながらワイワイ。

各アクティビティ別に要件や具体的サービスを挙げていきます。
具体的な商品イメージがどんどん湧いてくる!

ジャーニーマップなんとか完成!

顧客の行動やニーズとサービスが一覧できますね。


「カスタマージャーニーマップ」は「エクスペリエンスマップ」とも呼ばれていますが、顧客の体験を俯瞰して観れることが最大の特徴です。
顧客の行動にマッチした商品や顧客の心情にマッチしたサービスをベストなタイミングで考えることができます。

今回のワークショップでも、考えていたこを整理するだけでなく、新しい商品イメージがより具体的に付加されながらも、精査されていく様子が伺えました。

次回はいよいよ各グループが発表します!

●関連ブログ
 1回目:フィールドサーベイ・・フィールドワーク最初の一歩
 2回目:情報分析・・体験をとらえるマッピング
 3回目:アイデア創出・・街の集客方法を考えるワークショップ
 4回目:シナリオデザイン・・カスタマージャーニーマップを作成するワークショップ

2012年1月16日月曜日

街の集客方法を考えるワークショップ

横浜デジタルアーツ専門学校の1、2年生を対象とした「体験デザイン入門」の講義。今回はいよいよ、コンセプトをデザインします!
これまで行ってきた、前回行った体験マッピングの考え方をベースに、前々回行ったフィールドワークのデータを活用して、XB法を使った新しいコンセプト出しを行いました。


テーマは「新横浜にまた来たくなるシカケ」。
新横浜の駅周辺で、自分たちにできる集客方法を考えてもらいました。


さっそくXB法のワークショップ。
体験を「価値観」×「対象」×「関わり方(体験)」に分解した言葉を使い
類比連想により似ている言葉を量産していきます。
ここで、前々回やったフィールドワークのデータも活用しました。

3つの言葉を強制的に組み合わせて
強制発想で1つのストーリーをつくります。

こんな例でも、むりやりアイデアにしてしまう。
(学生さんは、球根を植えて生えてきた野菜を食べるサービスに結びつけていました。)

より、具体的にサービスのイメージを描きながら自由連想で発想していきます。


テーマだけを考えると、「新横浜にできるシカケ?ってなんだ?」と思考が停止してしまう人も、
様々な視点でアイデアを出すことができました。
最終的にはたくさんでたアイデアの中から、6グループ、それぞれ1つのコンセプトに絞ってもらいました。

各グループの現時点でのコンセプトをのぞいてみましょう!


Aグループ:「喫茶店通り(仮)」
1店舗1ヶ月の期間限定で、各地元の喫茶店を楽しめる、駅ビル改装の提案。
新横浜のオフィス街の人にとって憩いの場、交流の場となる喫茶店通りを狙う。

Bグループ:「新幹線の乗務員・駅員一日体験」
月に一度、新幹線の乗務員・駅員の仕事を一日体験できるサービスの提案。
お昼ご飯は新幹線の中で駅弁も食べられて、子供の参加者には新幹線のオモチャもプレゼント。
参加者のうれしさだけでなく、職員が人に教えることによって個々のスキルアップまで期待できる。

Cグループ:「新横浜“花”計画」
新横浜のイメージを都会的なイメージから自然的なイメージに変えるブランディングの提案。
新しい観光スポットへの転換をはかるべく、花の演出、花駅弁、季節限定色改札扉、著名人とのコラボなどなど多チャネルからアプローチする。
訪れた人に美しいものを観た喜び、美しさに酔いしれる体験を演出する。

Dグループ:「植物教室」
新横浜のビルの屋上に畑を設け、植物を育て、料理して食べる長期的イベントの提案。
主に、子供が夏休みに参加することを想定。
植物を育てる体験を通して、人と人との交流、責任感を養うことを狙う。

Eグループ:「新横浜限定のデジタルサイネージ」
駅のエントランスにデジタルサイネージを設置し、オリジナルのメッセージを発信しつづける提案。
時間帯、季節によってメッセージが変わり、
疲れている時には元気をもらえる、毎日の通勤通学の楽しみになるような存在を狙う。

Fグループ:「Shin-Yokohama Music Station(仮)」
駅構内で、人の流れやイベントやツイートによってマッチングされた音楽を流す提案。
気分にあった曲が流れると元気がでる、知らなかったアーティストが見つかる、
横浜アリーナでライブがある場合にはテンションを上げてくれる、などの効果を狙う。


どれも実現したら、すごく面白そうですよね!
次回の授業では、もう少し具体的に展開をしていく予定です。


○生徒のブログ


●関連ブログ
 1回目:フィールドサーベイ・・フィールドワーク最初の一歩
 2回目:情報分析・・体験をとらえるマッピング
 3回目:アイデア創出・・街の集客方法を考えるワークショップ


2011年12月31日土曜日

「エクスペリエンスデザイン」を考える

「UXデザイン」と聞いて、その職業をイメージできる人は、どれくらいいるんだろうか?? 具体的に定義できなくても、なんとなくイメージできるだけでもいい。きっとWeb業界の人なら、聞いたことがあるとか、経験的に理解できる人も多いだろう。でも、組込みの情報機器やパッケージアプリの関係者になれば、その認知度はぐっと減るのだろう。情報機器やITに関係ない人には、耳にすら入らないのかもしれない。

私は今年、長年務めてきた会社を辞め、新しい活動の場を作ることにした。その際、これまで関わりの無かった業界、分野、職業の人ととにかく会ってお話しする機会を作ることにした。そこで、今までデザインの周辺しか見えていなかった現実に打ちのめされながらも、様々な分野で共通して起こっている変化に気づくことができた。

それは何か?
言葉にすると今更感が漂うのだが、
「経験」への注目だった。

製造業からもサービス産業からも経験価値の創造が本格的に行われ、改めてパインとギルモアの「経験経済」が注目される世の中になってきた。
一方、都心を中心としたサードプレイスでのワークショップの活発化は目覚ましく、コミュニティでの学び「経験学習」の効果に注目が集まってきている。

作る人も使う人も、コミュニティも経済も「経験」。これは流行りなどではなく、真面目に、真摯に受け止めなければいけない現象である。

ところで、UXデザインってなんなのか? User eXperience Design, それは、使う人の体験を考えて、モノの成立ちをデザインすること。体験のコンセプトをつくり、ストーリーを組み立てて、適切なユーザーインタフェースを設計すること。

残念ながら、今、注目の集まっている経験価値を創造する職業とは言い難い。




しかし、これからのエクスペリエンスデザインが、経験価値を創造する職業だとしたら、ライフスタイルを豊かに、思い出を豊かに、人と社会がハッピーな関係をつくるデザイン。まさに、人生を演出するような役割になる。
ハードウェアやインタフェースの制限のない世界で、それらを自由に操り組み合わせて、人々の経験をデザインできるようになる。

夢物語みたいだけれど、そんな仕事が、ちょっとだけ先に見えている。
そして、今後そんな仕事に携わっていきたいと思う。







本年も多くの方に支えられ、見守られてなんとか生き延びることが出来ました。
本年出逢えたみなさま、どこかでつながっていたみなさまに感謝いたします。

来年2012年へ豊富と期待をこめて。

__福島への車中、MAXやまびこにて。

2011年12月30日金曜日

体験をとらえるマッピング

横浜デジタルアーツ専門学校の1、2年生を対象とした「体験デザイン入門」の講義。今回はエピソードデータを読み解き、分析する授業を行いました。
最初はちょっと難しすぎるかな、と思ったけれど、そんなことない。すごくいい分析ができました。
UXを捉える軸として、面白い視点がみつかりました!


「感動した体験のエピソード」1人3つ持ってきてもらいました

なぜ感動したのか、なにが良かったのかを分析して貼り出します

エピソードの中に含まれる経験の要素に気づきはじめたぞ

エピソードのマッピング作成

ここからは、書き出した要素を参考にしながら、エピソードを2軸マトリクスに配置していきます。エピソード単位でのKJ法を行いながら、それぞれのエピソード間の位置関係を決めて行き、最後に軸を定めていく方法です。

複数の要素を含むエピソードを配置するのは難しい。

学生さんたちは、マッピングの難しさに加え、自分の考えていることを言葉で表す難しさにも直面したようです。しかし、他のグループを参考にしながら、自分たちの感覚に近い言葉を必死に探し、軸がつくる空間に目を向けることで、だんだん方向性が決まっていきました。

発表!このグループの軸は・・・
景色に対する感動 ←→ 人に関する感動
意図していなかった ←→ 意図していた

個人(で体験)←→ 団体(で体験)
初めての経験 ←→ 二度とできない経験

『感情の比重軸』満足感 ←→ 哀しい・消失感
『対象物軸』生物・直接(受動的な体験) ←→ 物・間接(能動的な体験)

外部からの刺激 ←→ 自分でなにか行動した
継続的な体験 ←→ 一時的な体験



体験の中にある時間軸や、モノと人の関係性、感情、コンテクスト情報など、幅広い視点に気づくことができました。
実際に完成したマップも良かったけれど、自分たちの考える空間をディスカッションしながら視覚化できたことは、これからいろんなことに役にたっていくと思います。


●関連ブログ
 1回目:フィールドサーベイ・・フィールドワーク最初の一歩
 2回目:情報分析・・体験をとらえるマッピング
 3回目:アイデア創出・・街の集客方法を考えるワークショップ

2011年12月22日木曜日

HCD上流工程の発想法ワークショップ

12月13日(火)にHCD-Netの主催するセミナー「HCDの上流工程の手法と発想法ワークショップ」において、ワークショップを担当してきました。
ユーザーにとって嬉しいデザインをするために新しいコンセプトを創造する方法を、講義とワークショップで学ぶことができるセミナーです。

・「HCDにおけるコンセプトと発想手法について」 山崎 和彦氏(千葉工業大学)  
・「HCDにおける視覚化手法について」 浅野 智氏(横浜デジタルアーツ専門学校)  
・発想手法ワークショップ-1「体験からの発想」 山崎 和彦氏(千葉工業大学)  
・発想手法ワークショップ-2「XB法」 三澤 直加氏 (株式会社グラグリッド)

ユーザー体験を捉えるための軸とそれぞれに対応する発想法について(山崎先生)

デザインプロセスで行われる視覚化手法について(浅野先生)

ISO 9241-210と発想についての関係性も。


「花器」をデザインするワークショップ(山崎先生)

「モノで発想する」ことと「体験で発想する」ことの違いを身をもって体験できるおもしろいワークショップでした。花器をデザインするアプローチを2つのテーマ設定で行いました。テーマの違いで出てくるアイデアが変わってしまう面白い体験でした。

ここからは私が担当するXB法ワークショップ(シート記入型)

グループでブレスト中。みなさんの楽しそうな様子を観てまわる

HCD (人間本位のデザインプロセス)では、使いやすいものをつくるために、これまで「問題解決型デザイン」が優先的に考えられていた部分があり、上流行程から「ビジョン提案型デザイン」の発想することまでは、なかなか手が回らないという現実がありました。
しかし、今回このワークショップは募集から数日で満席になるという反響ぶり。みなさんの注目の高さが伺えます。

また、提案型の発想が求められる時代に、個々の発想能力を活かすためには、個々の柔軟な発想力に加え、適切なプロジェクトマネジメント、特に目標設定がとても大切です。デザイナーが目標設定に関与できる組織づくりの大事さに気づいた一日でした。


◎関連ブログ
 情報デザイン研究室浅野先生のブログ
User Interface Design Clipping(参加者:千代さんのブログ)
隣合わせの灰と青春(参加者:松崎さんのブログ